劇場の様式

Posted on February 19th, 2010 by Webmaster

劇場の様式は、そこで行われる作品と同様に多種多様である。多くの劇場では、演技空間である舞台と、観客席、そして舞台装置などを納める舞台裏と、俳優らの控え室である楽屋が備わっている。オペラを上演するための専用の劇場では、これらの他にオーケストラ・ピットなども用意されている。完全に平らな空間のみの劇場もあり、そのような空間では上演内容に合わせて舞台や客席の配置を調節できるようになっている。

分類

劇場は、舞台と客席の位置関係によって以下のように分類できる。

  1. 舞台と客席の位置関係が固定されているもの
    1. 空間の片側が舞台で、片側が客席になっているもの。
    2. 舞台が客席に突き出し、複数の方向から客席が囲んでいるもの。
    3. 舞台が空間の中央にあり、円形に客席が取り囲んでいるもの。
  2. 演目・演出により、舞台と客席の位置を自由に配置できるもの。

以下に劇場の代表的様式を解説していく。これらのうち、古代ギリシャの劇場とエリザベス朝時代のイギリスの劇場は、後述の張り出し型舞台に分類されるべきものだが、西洋の古典的舞台を紹介する意味で掲載してある。また、歌舞伎と能の劇場も張り出し舞台に分類できるが、日本の伝統演劇の様式を紹介する意味で掲載してある。

古代ギリシア演劇

古代ギリシアでは、劇場は丘などの斜面を削って建造された。野外劇場だが、演者や合唱隊の声がよく届くよう音響効果の優れた構造が取られている。劇場全体はすり鉢状になっており、底の部分に俳優が演じる舞台(プロスケニオン)と、合唱隊用の平土間(オルケストラ)があった。客席は、すり鉢の斜面部分に、舞台を半円形に囲うように作られた。収容人数は最大規模のもので2万人程度と言われている。

現代の劇場でも、古代ギリシアの劇場の様式を模したり、なんらかの形でそのコンセプトを取り入れているところは少なくない。日本では、彩の国さいたま芸術劇場の小ホール(最大客席数346名)や新宿コマ劇場などがある。

エリザベス朝演劇

中世のイギリスでは、エリザベス1世の時代に独特の演劇文化が花開いた。 建築物部分は三層になっており、規定の料金を払った観客はここに上がり座って観劇することができた。1階の平土間は立ち見用の観客席となる。舞台は平土間に突き出すような形で設置されており、その上部には柱に支えられた屋根がある。建築物部分とこの舞台上以外に屋根はなく、平土間上部は陽光を取り入れるために吹き抜けとなっている。

収容人数は劇場によって異なるが、シェイクスピアの書き下ろし戯曲が上演されていたロンドンのグローブ座では、2000人を越える観客が観劇できたという。

日本では、1988年に完成した東京グローブ座が、ロンドンにあったグローブ座を模した劇場としてある。